2013年08月03日

7 おかしなおかしな、保田あおい 〜愛してなんかいないくせに(1)










せつなくて.jpg






『何か』話したいことがあるんじゃ…?

こんなにベッタリと甘えたり、ついてくる保田は初めてだ。

逆に怖い。



悩みもあるだろう。

これからの生活のこと…家族のこと…

結婚生活のこと…

やっぱり離婚…したんだよね、保田は。




そういえば、以前、もらったメールに、

冗談っぽい文章で、

「毎晩、ひとりワイン飲んでますw」

「もう充分、アル中でございます」

なんて書いてあったの、あれ、本当だったんだね? 

苦労したんじゃないのか。

…苦労したんだろうな。ひどいよな。





保田の横顔をジッと見てみた。

全然、老けてないし、中学の頃と変わらない。流石だ。

でも、

めちゃくちゃ痩せた…。頬がこけちゃってるもの。

ただでさえ、もともと細かったのに。






保田
「ン?」

保田(33)最終Ver1.png


保田
「え? なァに? 何で見てたのン?」



なんか…家にいた時よりも、しおらしくなってる…。

きれいだよな、やっぱ。

そりゃ、そうだ、一度惚れた女性だもんな。

後年、知ったけど、保田のことを好きな男子って多かったようだ。






「いや、化粧、上手くなったなって」



保田
「ぶっはw 誉めるのソコ!? キレイになったねとかじゃなく!!」




「だってさww お前、結婚する前…あ、いや、10代の頃、顔が真っ白やったやん(笑)」



保田
「しょーがないでしょ! ガキの頃なんてね、わかんないのよ!(笑)」







…っと、また沈黙になる。

ダメだ…。保田に限っては、どうも聞き出しにくい。

俺だって、少しは成長したんだけどな。

会社の若いスタッフの相談相手とかもやってるのに。

やっぱり、心の奥でブレーキがかかってる。









保田
「あ、ここの神社」




「おっ、懐かしいね」



保田
「テツヤとさあ、元旦の朝、ここでお参りしたよね」




「そうそう、そしたら…!」



保田
「そうそう!!いきなり、神主さんがこの扉から現れて、みかんくれたんだよね!」



保田
「あ…そして、この街灯の場所〜。よく、テツヤとさー、夜にここで待ち合わせして…」




「そうだよな、いろいろ話したんやっけ。悩み事とかさ」



保田
「ガキだったよねw うちらw」








っていうか、お前は…、

元気がない時、俺が「どうしたの」って聞いても、

「なんでもない」としか言わなくってさあ。

だから心配になって、

俺が何度かここに呼び出したんじゃないかー(笑)

だけど…、大概、自己解決しちゃうんだよな、保田は。

絶対に俺に、悩みを言わない。

俺、信用ないんだなって、一人で勝手に疲れちゃってた。








保田
「あ…」




「ン?? どしたン?」



保田
「……。」






もしかして、保田…?

何かを言ってくれるんだろうか? 

おう、何でも聞くぞ。俺はあの頃とは違うぜ。どんとこい…







保田
「ああ〜ン。…おしっこ」






ガックシ。

やけにしおらしいと思ってたのは、我慢してたからか;;





保田
「どうしよ…」




「この辺、公園もないぞ! ん〜〜。しゃあない、ソコの、ブロックのあるとこで…



保田
「うひゃあ…ン。でも、しょうがない…。」




「ティッシュ!、はい」



保田
「さすが、店長さん。あ・あんまり離れないで…。音は聴かないでよ




「わかった。周り、見張ってるから、我慢してないで、はよ、やって



保田
「…あはは、やっぱ、テツヤって優しいね」







俺はビクッとしてしまった。

まただ…。

俺は、そのセリフを二度と聞きたくなかった。






俺の、保田に対する心のブレーキになるキッカケの言葉だった。






a-ha "and you tell me"

君を嫉妬させようと変な小細工をしたり、
君が離れないようにするために僕は一生懸命努力したんだ
一日は長くて、夜は狂いそうになる
だけど、君はこう言う
”愛してなんかいないくせに”

タイトルは、この曲から引用しました。
俺が保田に会いに行く途中、ウォークマンでよく聴いていた思い出の曲です。


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2013年08月02日

6 幸せの色は、白










保田3姉妹あるはら用.jpg



保田家に招待され、

3姉妹独特のサービストーク(笑)も味わって

この上ない幸福感を味わった、俺。

ただ、さすがに夜も遅くなったので、

実家で、俺の帰りを待っている母親に電話をかけようとした。



ちょっと、ゴメンと、言って席を外す。

保田は、「あーいw」と言いながら、姉妹たちとキャッキャしている。







玄関の方で、携帯をかける。

が、

すぐ切れた。かけてもかけても、ツーツーと言って切れる。

電波は3本立っている。

自分はこれでも、一応、携帯電話販売者のはしくれ。

理由をあれこれ考えた。

盛岡駅では、確かにかかったのに。

(え?まさか、料金未払いの一時停止?)

確かにその場合、通話停止時間は今ぐらいになるけど。

でも、そんなはずはない。

自動引き落としだし、さすがに携帯電話代を払うぐらいの額はあるはず。

そんな通知もなかったし。








俺は携帯を閉まい、そのまま、3姉妹のところへ戻った。

保田家に電話を借りるのは申し訳なかったし、

まあ、俺の母親ならわかってくれてるだろうと思って、

とりあえず、疑問は保留のままとした。







相変わらず、保田がキャーキャー言いながら(笑)、姉妹と戯れてる。

本当に仲のいい姉妹。特に保田は、一番ネアカだ。

飲み足りないと言って、ワインをぐびぐび飲む保田。

お姉さんに注意されても、ふざけて、床で足をばたつかせている。

その間、何度もスカートがめくりあがって、保田はパンツ丸見えだった。

俺だって、これでも百戦錬磨の男と言われ(言われてない)ている。

たかが、パンツの一枚や二枚…。

(ちょ…またひとつ、夢が叶っちゃったよ…)

頭ン中が、中学生に戻ってしまっていた。

(でも、やっぱり、コイツ、俺を異性と思ってないなあ)

と、複雑な心境になった。

やすだパンチら.jpg





保田が俺の存在を忘れて(笑)、遊んでいるので、

そばにいる、保田のお母さんに話しかけた。

そういえば、先ほどから、お母さんは何やら資料を読んでいた。




「今日はすいません、突然に。…あ、何の本を読んでるんですか?」



保田のお母さん
「あ、ああ…、これ? 今、福祉の勉強してるの…職をちょっとね…



「あ、そうだったんですか、大変なところ、本当にすみません」



保田のお母さん
「いえいえ…我が家はいつもこんな感じですから(笑) 




お母さん、職探し…。



正直、詳細はわからないので言及は控えるけど。

保田ん家も、結構、いろんな事情があったように思える。













さあて、さすがにもう真夜中だし。

保田のお母さんにも悪いし、俺の母ちゃんも(笑)いい加減待ってるだろうし。

帰るとするかなー。

楽しかったなあ。心から。






「好き」という感情は、今更、もうないけれども、

やっぱり、どうであっても、初恋の女の子だ。

ちょっとだけ、気持ちが中学の頃に戻れて、嬉しかったよ。


もう、満腹、です。

自分自身が調子に乗る前に、帰ろう。







「じゃあ、私、そろそろ、この辺で…」

と言った瞬間、全員が「えええ」

ハイ、ごちそうさまw

例え、嘘だったとしても、やっぱり嬉しいね、こういうのは(笑)

『笑っていいとも』のゲストの気分だね。





お姉さん
「また、遊びに来てね〜、女ばっかりでさみしいからー(笑)」




お姉さん、今回、あなたに会えて本当によかった。

久々に、「人間っていいな」って思えました。

メグちゃんも、大きくなって…。オッサンは嬉しいよ(笑)

素敵な恋愛してくれたまえッ。

保田…、今日は思い切ってキミに電話して良かった。

ただの休日で、いろんな体験が出来た。

また、前のように時々遊ぶべな。話し相手ぐらいにはなれるだろうから。






お姉さん
「あ、テツヤくん、タクシー呼ぶ? すぐ来るよ?」




「あ…実を言うと、歩いて帰りたいんですー。
ここから歩いて20分くらいですから、大丈夫です^^」



本当は歩いて30分以上かかるけども(笑)

理由は、10年以上ぶりに訪れたこの街の景色を、

歩きながら見て行こう、と思ったから
だ。ただ、それだけ。






保田
「わーーーーーい! 私も一緒に行くーーーーー! 歩きたぁい!」





('Д')(えっ)









「え?! え?! ちょ、ウソだろ? 俺ん家に来るってこと?!



保田
ウン!!!! …ダメ?」




「あ、歩いていくんだぜ? 大丈夫か、お前?フラフラだし!」



保田
ちょっとォ! オバちゃんになったからって、なめないでよ!
けっこう、まだまだ体力あんのよ! 何、いやなの、テツヤ!? いやなの!?



保田が、小さい女の子のように騒ぎ出したので、

お姉さんが苦笑いしながら、コソッと(ごめん、連れてったげて)と言った。




うそだろ…いや、連れていくのはかまわない。むしろ、嬉しいけどさ…






絶対に人には甘えなかった保田が…信じられない。こんなこと今まで一度もなかった)

 


何?、何があったのさ。




俺は、かつての保田との交流経験から、つい、防衛本能が働いてしまった。

(酔っているから。 それもあるだろう。もしかして、ちょっと俺のこと見直したとか?(笑) いやいや、それは100%、この子に限っては、ない。
期待しちゃいけない






(じゃあ…もしかして…何か…彼女の身の上に、何かあるのかなあ…。 何か、言いたいことや、不満やら、 悩みとか…。まあ、誰だって悩みの一つや二つあるけども。)




普通の人なら、喜ばしい場面だが。

俺は逆に、彼女のことが心配になってきていた。








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2013年08月01日

5 美人三姉妹



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ゴゴ市編 〜11話までのあらすじ (ゴゴ市での出来事)
ゴゴ市編 〜25話までのあらすじ (かるびの現実の問題へ)
ゴゴ市編 〜40話までのあらすじ (かるびの旦那との話し合いまで)




1やす.jpg




それからの、中学校生活は、まさに彼女・一色。




まわりの男子は、

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キョンキョンやら、

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おニャン子クラブやらに夢中だったけど、

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(俺も少女隊のレイコちゃん、好きだったけどさ)


でも、身も心も夢中、とまではならなかった。

キョンキョンの、百万倍も可愛い子が、身近にいるんだもん。






土曜日(昔は、土曜日も登校日だった)の半ドンは、

学校から帰るのがつらくて、

日曜日、『サザエさん』が終わると、

やっと明日、学校に行ける!彼女と会える!って、嬉しかったなあ。


普通、逆だよねえ。

それくらいポジティブに学校に行けたのは、彼女のおかげかな。





けど―、

結局、付き合う、というまでには至らなかった。






仲良くはなれたけど、「好き」とは一度も言えなかった。

彼女の方も、自分を”異性”としては見てなかったと思う。



彼女は、正義感の強い、スポーツ少女。常に上を目指す理想の高い子。

一方、俺はのんびり屋で、マイペース。スポーツも平凡。部活も普通。




一度、彼女が新体操の練習をしているところをみかけた。

顧問の先生に怒鳴られ、泣きながら練習していた。




初めて会った、あの日も、

彼女は演技がうまく出来なくて、ひとり教室で泣いていたんだ。



尊敬するとともに、彼女の住む世界との違いを強く感じた。











エイリアンズ.jpg

保田
「ねえねえ、そういえば最近、イサオとは会ったりしてるの?」




「え…、」



イサオは、その中学時代に仲の良かった同級生。

高校に入ってからは、数回、会っただけ。

俺が肺気胸で入院した頃、電話があったのを最後に連絡していない。




「…。」



保田
え?え? なァに? なんで怒ってんのォ?(笑) なんかあったの?




「あ…いや、怒ってなんか…」




さすが。

保田は、ガンダムでいうところのニュータイプだな(笑)

いや、それも彼女の人生体験のなせる業

一瞬の間(ま)で、大体のことを把握してしまう。

昔っからそうだ。だから、俺は彼女には頭が上がらない。









やっと、彼女の家の前に着いた…。

彼女は思ったよりも軽かったけれど、

やっぱりずっと背負ってると息が上がる。



保田
「どうぞン」




「え、マジで?いいの?上がらせてもらって」



保田
「あったりまえじゃない! お姉と、妹と母親がいるけど、いいでしょ?










ああ…。保田の家に入れるなんて…。




「うわ…、なつかしい」



俺は、この玄関までは、何度か入れてもらったことはある。

昔、冗談で(内心、本気で)「保田ん家入れてよ〜」って言った事はあるけど、

絶対に入れてはくれなかった(苦笑)





保田
「ただいまー!お姉!メグー!ちょっと! テツヤが来たわよ!



遠くで「えーっ!?」って声がする。




ファミリーが全員、玄関に集まった。俺は、照れた。

お母さんとは、これが初対面だったような気もするけど、笑顔で迎えてくれた。

妹のメグちゃんは、まだよちよちだった頃に会っているけれど、憶えているはずもない。

立派な成人女性になっており、時の流れを感じた。

3つか4つ上のお姉さんが、意外に俺の訪問を喜んでくれた。






居間に入れてもらって、珈琲をいただいた。

中学の頃の夢がひとつ叶った…。今更だけど、やっぱり嬉しいな。




お姉さん
「テツヤくん、懐かしい。昔よく、ウチに来たわよね




「あ…、は、はい、あの頃は、お世話になりました〜」



保田
「なに? お世話って!? お姉とテツヤ、なんかあったの!?
テツヤは、お姉にはやらないからね(笑)



( ゚Д゚) (えっ)



お姉さん
「アンタ、知らないんでしょ?テツヤくんが何度もウチに来てくれたこと」



保田
「はいはい、お姉は、テツヤがお気に入りだったもんね!(笑)
ちょっと聞いて、テツヤ!
お姉ってね、
あの頃、『テツヤくんとつきあったら?』って何度も言ってきたんだから!」



(´゚д゚`) (え…)



お姉さん
「ごめんね、こいつ馬鹿なのよ(笑)



そう言って、お姉さんは少しニコッと笑いかけてくれた。








(:_;) (お姉さん…俺の気持ちを…知ってたのか。)



お姉さん
「風邪薬を持って来てくれたりとか、電話くれたりとか。
それ以外の時もさあ…、いろいろ。
アンタ、いっつも外出中か何かで、
そのたんびに、アタシが受付したんだから
だから、印象に残ってんの。




(ノД`)・゜・。 (も、もういいッス!お姉さんッ! もう…それで充分ッ)




俺は、本当にこのお姉さんの言葉に感謝した。

あの頃の自分を、知っている人がいた…。

ガキだったから、どうしたらいいかわからずにもがいていたけれど、

なんか、過去の全てが報われたような気分になった。

(もう、それで、充分だ。今日は楽しかったな。来て良かった)




保田3姉妹あるはら用.jpg

保田
なァに?! また、私が悪者? あははははw」







妹のメグちゃんは、俺の横にちょこんと座って、

話を聞きながら、クスクス笑っている。

メグちゃんは、大人しそうで、ちょっとクールにも見えたけど、

人懐っこい面もあるのかな。




保田
「あ!メグ、珍しいんじゃない?」




え? なんだ、急に」



保田
「もしかして、メグ、テツヤのこと憶えてんの?



メグちゃん
「ん…んん…、な・なんとなく…会った気がする…」



お姉さん
「あ、ちょっと、憶えてるんだ、やっぱ。
だってね、
お客さん来ても、普段は、こんなに寄ってこないもんね?」



メグちゃん
「え?うーん、まあ、あおいちゃんの友達なら…



保田
「メグまで、やめてよ〜。 何? 姉妹3人でテツヤの取り合い?(笑) うはははw」



傍で、本を読んでいたお母さんも含めて、みんなが笑った。



ああっ…!





こんな風に家の中で、大勢で笑い合うっていいな…!!



ここ最近、ずっと一人暮らしだったし、

俺は小さい頃から、家でもずっと、夜まで一人だったから、余計にそう思う。

兄弟は早くに家を出て、母親は夜中まで仕事だった。

こういう、家族でワイワイっていうのは、ものすごく幼い頃にしか経験が、ない。



なんか、俺、今すごい幸せだ。

こんな美人三姉妹に囲まれてさあ(笑)

「3人姉妹ならでは」のサービストーク付きで(笑)

でもなあ、

本当にここ何年かで、一番の幸せを感じる。

かつての夢も、次々と、急激に叶ったりしてるし。

ひょっとして…。

俺、明日、死ぬの…(笑)?




って、読んでくれている人、

絶対、コレ、「お前の妄想話だろ?」とか「恋愛ゲームの話か?」とか、

思ってるだろうな。










でも、しあわせっていうのは長くは続かないんだよな。

彼女との、今日の何気ない一日が、

中学時代からの、いろいろな後悔を思い出させることになる。

 








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posted by みるしょう at 04:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 愛してなんかいないくせに | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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