2013年09月25日

17 いつも通り


AND YOU TELL ME (cover)







長い夜。



不思議な夜。



最後の夜.jpg
















愛してる。

はっきりと言える。

俺は、この人を愛し続ける。

命が尽きるまで。






そう、思った。









それぞれ、

別の人を好きになって、別々の人生を歩んでいっても。






これは、恋じゃない。

愛。






保田あおいは、大事な人。
























―朝。

まぶしい光が、何もかもを、リセットしていく。








彼女は、

母の作った朝ご飯を丁寧に食べ、

母も嬉しそうだった。







「綺麗で、すごくいい娘だねえ…





母が、家に来た女の子を、こんなに誉めることは、正直、初めてだった。






「でも…。テツには、たぶん、合わない感じがするね(笑)




…わかってるって(笑) ただのクラスメイト、友達だよ











タクシーを呼んだ。

さすがに、また歩かせるわけにはいかない。

なぜか、自分も一緒にタクシーに同乗する。








保田の家の前に着いた。

俺は、タクシーでそのまま帰る事をやめ、一緒に降りた。








保田
「歩いて帰るの?」




「うん。歩きたいんだ、また。なんとなく」



保田
「そっか…。」



保田が少し微笑んだ。









エイリアンズ.jpg
保田3姉妹あるはら用.jpg
やすだおんぶ.png
やすと公園.png



たった一晩、保田と一緒にいただけで、

こんなにいろんな事を感じ、考えさせられた。

正直、君と一生、一緒にいたら、大変だな(笑)



でも、

どれだけ充実した毎日が送れるんだろう、

なんて、考えたりもした。



ありがとう、保田。

楽しかった。心から。













彼女の長い髪の毛が、

少し早い春風に誘われて、たなびく。





小さく、手を振る。


asasisiのおばちゃん邸の前.jpg



保田
「じゃあ…、また」




「うん、また」











保田
「じゃあね!」












「じゃあな!」










雪解けのニュータウンの道を、真っ直ぐ歩いて行く。


少し振り返ると、

彼女の姿はなかった。






(おわり)

posted by みるしょう at 06:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 愛してなんかいないくせに | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月22日

16 愛することのもどかしさ






ベッド保田0.1.jpg

現実はドラマのようにはならない

「想った者」と、「想われた者」
「ロマンチスト」と、「現実主義」
「男」と「女」

考え方や印象の相違。

その一部始終。




「愛してたんだ…知り合った時から…」





18年の歳月を経て、愛の告白。





”ずっと好きだった”なんて。

白々しいにもほどがある。

心の奥で、ひっかかっていたのは、確かだけれど、

忘れようとしていたし、実際、忘れていたこともある。

かるびと知り合った頃は、ほぼ、完全に忘れていた。





なつかしさと、勢い。





そんな浅はかさが、

すでに保田にはバレてしまっているような気がした。














「へぇー…」



保田の反応。

それには驚きも、喜びも、悲しみもなかった。



「中学の頃からァ?」


「うん…。」


「へ…。何? それって、もしかして初恋…とか?

ベッド保田2.1.jpg



…うん。本気で付き合いたいと思ったのは、初めて」


うっそー! ホント?! 本当にあるんだ! 初恋の人が忘れられない、とか!」


「いや…、まあ」


刷り込み、みたいな感じィ〜?」 


「…。お前なあ…」


「へぇ〜、へぇ〜、すごいなぁ〜。 テツヤってすごいねえ〜


「お前、馬鹿にしてるのかあ? 子供扱いかよ…」 






18年、

それなりの想いがあった告白を、

他人事のように聞く、保田(笑)




しかし、

それがかえって、自分には一番良かったのかも知れない。

と、あとになってから思う。

18年の、自分の中のグダグダを「一掃」出来たからだ。






でもちょっと、いくらなんでもあっさりすぎる彼女のリアクションに、

正直、少し、ムッとした(笑)

この際、いろんな事を言ってやれ、と思った。







「お前だって…初めての人と結婚したんだろうにさ。同じようなもんだろw


「は?! ちょっとォ! アタシだって…。
その時はちゃんと、お互い必要と感じたから結婚したの!
テツヤ、アタシのどこが良かったのよ。何に惚れたわけェ?
顔? もしかして、カラダ?


「へ…? そ、そりゃ…。ぜ、全部!(←月並みすぎる)…」


「はあ?」


「い、いや…! 説明すんの、難しすぎる。 
女の人って、必ずそういうこと聞くよな。
最初は…。
そう、確かに最初は「カワイイな」とか、顔から入ったのかもしんない。
それは、認める!
だけど、それからだよ、徐々にさ、好きなところが増えていって…
最終的に、全部…」


「え、じゃあ、なに? 最初は「ひとめぼれ」ってやつゥ…?」


「…あ、ハイ…


「ふ〜ん…。ふうううん…。
アタシは、人を愛するきっかけって、違うなあ。
とりあえず、一緒にいて、同じ時間を過ごして…。
アタシもこの人が必要、
この人もアタシが必要、

っていう、関係になってから、はじめて「愛してる」って言えるかな」






いざ、言葉に出してみると、自分がいかに子供っぽいのか…。

男の「惚れる」メカニズムは単純。






彼女の意見は、実に女性らしい意見とも言える。

あとあとのことまで、考えて、好きになる。

世の中変わりつつある、としても、

まだまだ、女性の幸せは、付き合う男性に左右される面がある。

<生活レベル>も、<精神的な満足感>も満たされる条件が揃って、

初めて、その人を好きになる、という。

保田の意見は、全くわからない、ということではない。







「そっか…。中学の頃…、お前は俺を必要とは感じなかったってわけか…


「またあ…。ネガティブにとらないでよォ。テツヤは大事な人だって、何回も言ったじゃん〜」


そんな風にいつも言うから、勘違いしちゃうんだよ、俺は!

だったらさ、
俺がもし、中学の頃、「付き合って」って言ってたら、どうしてた?
俺と付き合ったか?」


「…」


ほれ、みろ(笑) 黙ってるし」


「いや、アタシ、あの頃さ、恋愛ってわかんなかったのよ!
人を好きになるって、どういうことかわかんなかったの!」



「だって、先輩とかと付き合ったりしたじゃんか


「あ。あれは、単に「あ・こ・が・れ」って感じかな、アハハ」


「…マジ? ひどいなあ、それ…。その件で、お前に相談とかされてたんだぜ?

どれだけ、苦しかったか…。

結婚の時だって、そうさ。
いつも、突然なんだもの。

誰かに片思いしたことある? こんな気持ち…わからないんだろうな、お前は


「…いや、まあ…。
ま、まあさ、昔の話じゃない。
アタシとテツヤの時間はさ、いい思い出としてさ、その…

さっきも言った通り、恋愛に関しては、そういう風に思ってたわけ。」


「中学の頃から…?
そんな頃から、大人っぽい考え方…
そりゃあ、誰も付き合えないよな、保田とは…







わかってるよ。

意地悪だよね、俺。

逆の立場だったら、俺だって困る。

気にしてなかった人から、「18年間、好きでした」なんて言われても、

え、そうだったの? って思うしかないだろうね。

これがドラマだったり、

よっぽど相手がかっこよくなってたって言うのなら、話は違うかも…しれないけど。








「ごめん…。

今更、どうしてほしい…とかじゃないんだ。

お前にも今、彼氏がいるって聞いたし、しあわせって言うなら、

もう、それで、俺は結構、納得してるんだ…。

そんなお前に、「つきあってくれ」なんて言うつもりじゃないんだ…。

そういう、見境のないヤツと思われたくない






「…うん。わかってるよ」




言いたかったんだあ…。
ずっと、ずっと、お前を騙していた気がして。

優しくしたのも、
近づいたのも、
手紙書いたり、電話したり、クスリ持ってったりも。

俺が「イイヤツ」だからじゃないんだ。

お前の事が好きだったから、やってた。下心みたいなもんさ。
親友のふりなんかして、ごめん。

お前が、一度、
苗字が「司」だったころに、直筆の手紙をくれたことがあったけど、
結婚生活、無理してるって、書いてあったのを見て、
「ほれ、見たことか、俺は知らないよ」
って、放ったりもした。

イイヤツなんかじゃないんだよ、俺は。
だから、そう言われると、つらかった…」






「騙してるなんて、そんな…。

ありがとう…。
そんな風に想っててくれたなんて、嬉しいよ。
だって、アタシだって、女性だもン。

テツヤに会えて良かった…。
そう、思うよ」







ちょっと、泣きそうになる。

保田の手前、泣くわけにはいかないけれど、

充分すぎる答えだった。








「へ、へへ。
だったらさ、ぶっちゃけついでに、もうひとつ聞いていい…?

もし…、そう例えばだよ?

今、お前に彼氏がいなかったとして…。

そしたら、今の俺と、付き合える?
「結婚する?」なんて冗談言ってたけど、
今の俺と、結婚出来る?





「う〜〜〜ん。

そうだなぁ〜…。

テツヤってさ、戸籍、真っ白でしょ?(笑)


「え? ああ、バツはついてないよ?(笑)


「なんかねぇ〜〜〜。

『重い』!

アハハハ!」


「ああ、言ってることは…わかる気がする





「アタシ、さっきも言ったけど…。
結婚は、もう重いんだあ。 
お互い、理想を持って結婚生活に臨むんなら、まだいいけどさ。
テツヤは、まだ結婚生活、「こうしたい」「ああしたい」って、
思うわけでしょ?
「子供は何人欲しい」とか、あるわけでしょう。
そういうのが、もう負担になるわけ。
アタシ…子供…出来なかったし」






「………。」






「だから、無理!
テツヤは重い!アハハハ!」


ぶはw 軽く言っちゃってさあ。
でも、わかる話だな…それ」










ここで、

保田に迷われたり、悩まれたりしなくて良かった。

もし、そうなったら、自分もまた、変な期待を感じて、

過去の繰り返しになってしまうだろう。

ここまで、あっさり言ってくれたことで、

笑ってしまうくらいに、あきらめがついた。






以前、思った。

父の葬式の時。

かるびと旦那の問題に直面した時。

パンチに、

「お前は未婚男性だから、かるびは相談出来ないんだ」

って、言われた時。





”結婚ってなんなのだろう”、と。

俺の周りには、”誰一人”、結婚でしあわせになってる成功例がない。

余計に、結婚に対して不安もあり、それゆえに、理想も強い。




ただ、どうやら。

どうやらだけど、

どうも、結婚というものは、

人間をひとまわりもふたまわりも成長させてくれるもの
らしい。

未婚者との差は、別次元と考えてもいいくらい。

保田の言葉は、その意味を含んでいた。







「わかった…。
とてもよくわかる話だ。

今日は、会えて良かったよ。
忘れられない日になったなあ」


「テツヤ…」


「お前ってスゴイな。いろんなことを教えてくれる。
俺こそ、保田と会えたこと、本当に良かったと思う。
もう、女性として、
じゃなく、人間として、
これからも一生、愛してると思う














※刷り込み
生まれたばかりの動物、特に鳥類で多くみられる一種の学習。目の前を動く物体を親として覚え込み、以後それに追従して、一生愛着を示す現象。



a-ha "and you tell me"

君を嫉妬させようと変な小細工をしたり、
君が離れないようにするために僕は一生懸命努力したんだ
一日は長くて、夜は狂いそうになる
自分がおかしくなるんだ 君がいなくなってから
だけど、君はこう言う
”愛してなんかいないくせに”

タイトルは、この曲から引用しました。
俺が保田に会いに行く途中、ウォークマンでよく聴いていた思い出の曲です。


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posted by みるしょう at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 愛してなんかいないくせに | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月16日

15 愛してる







セクシー安.jpg
自分の人生を、
自分の気の弱さを、
誰かのせいにしたいくらい、
俺はとまどっていた―。







「わたしね―。」



保田は起きていた。

もしくは起こしてしまったのか、それはわからない。

まるで、何かの話の続きのように、保田は語り始めた。



ベッド保田3.1.jpg




「私ねー。結婚とか、もういいんだぁ」




俺は、もう、言い訳出来ないくらいの距離まで近づいていた。

保田は一度、目を合わせたが、すぐに空を見あげた。

何を―。

何を言い始めるんだ…?






「恋愛はしてるよ? でも、重たいのはイヤ」



「え…」



「一生懸命、頑張ったんだからァ。結婚生活。いろんな事にも耐えた」



「好きな人…いるの? っていうか、彼氏とか…」



「うん。いるよ」





よ、良かった…。

危うく、彼氏のいる人に、間違いを起こすとこ…

い、いや、良くない! か、彼氏…? そうか、もう、そんな…。 





「心」というものは、どこにあるのか。

おそらく、頭の中の脳なんだろうけど、

そのことを聞いた俺は、

背中から胃にかけて、ギュッと何かにつかまれるような圧迫を感じた。






「もう、耐えたり、縛られたり、約束したりなんかの恋愛はいいかな」





こいつ、なんだ?

読まれてた…? さっきまでの俺の考えていたことを…。

ああ、でも保田は昔からそうだったな。



「好きだ」って言いそうになると、

「私たち、男と女の親友だよね」って言われたり。

まるで、神様が仕組んだかのように、

俺と保田は付き合えないようになっているかのように。





また、黙るゥ…。なんか言ってよン(笑)」



「え…? い、いや、考えさせてよ。 あ、いや、思ったこと言うよ



「なに?」



「彼氏って…。じゃあ、今の彼氏は縛ったりとか…結婚とか…そういうのはナシ?」



「うん。でも、お互い必要としているし、愛してる」



「…しあわせなの?」



「うん! しあわせだよ!」







言葉が出てこない。

この現実。

まただ。また、一人になってしまう恐怖が襲う。

彼女が結婚するって言ったあの時と同じ…。





こんな気持ちになるなんて、そうか、俺は…。

俺は…たった一日で、保田への気持ちを甦らせていたのかもしれない。




でも、このまま黙ってると、また保田に心を読まれてしまう。






「だったらさ」





もう見切り発車だ。

読まれるくらいなら、言ってやる。

普段、思ったことを整理して飲み込み、

相手に合わせた行動ばかりとっている俺にとっては、冒険だった。






「だったらさ…! なんで、あんなこと言うんだよ」



「ん?なァに?」



「私たち、結婚しようかって…」



「え…! そんなコト、アタシ言ったァ〜ン?」



「そういうのさ、彼氏がいるのになんで言うの」



「ん〜。仮に言っても、冗談に決まってる…。テツヤならわかるでしょ〜?」



「俺と付き合えばヨカッタ、とかさ」



「だから…」



「好きでも愛してもいないくせにさ…ひどいじゃんか」



「だからァ〜。冗談…」



「気持ち悪いかもしれないけど、俺は冗談にとれないんだよ」



「ええ…」



「他の子なら…冗談だって、流せる…けど、お前だけは違うんだってば



「へ?」



「そんなこと言われると、嬉しいんだよ…お前に言われると」



「そ、そんな、テツヤ、怖いよ? 純情すぎ…」



「すごく嬉しいんだ…。だって…だってさ。お前の事、好きだったんだから…」



「なに…? え…?」






「ひどいよ! いっつもそうやってさ、残酷な冗談ばっか言ってさ…!」



ベッド保田0.1.jpg



「・・・・・。」






もうヤダ…。隠しててごめん。好きだったんだ、お前の事」



「・・・・・・。」



「知り合ったころから、ずっと愛してた。」












18年越しの、告白。





a-ha "and you tell me"

君を嫉妬させようと変な小細工をしたり、
君が離れないようにするために僕は一生懸命努力したんだ
一日は長くて、夜は狂いそうになる
自分がおかしくなるんだ 君がいなくなってから
だけど、君はこう言う
”愛してなんかいないくせに”

タイトルは、この曲から引用しました。
俺が保田に会いに行く途中、ウォークマンでよく聴いていた思い出の曲です。


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posted by みるしょう at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 愛してなんかいないくせに | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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