2013年06月30日

24 運命のホイール




24.png

かるびが、ゴゴ市から消えて数か月。
パンチからの情報でみつけた「ハンゲーム」の謎の女性は、
やはり、かるびだった!
俺はPCの前でひっくり返ったと同時に大泣きしてしまった。






かるび…! 会いたかった…!元気でいてくれた…!

運命か、と思うのは大げさだろうか。




かるびのハンゲームのメールには、

いろいろ書いてあり、ここでは長いので、抜粋すると、





・旦那の家へ戻ってからは、相変わらずだが、取っ組み合いとかは今の所ない。


・以前よりも、旦那がかるびを監視するようになった。


・携帯電話は解約され、新しい携帯になった。


・PCのメール、携帯のメールは全部、旦那に見られた。





ここまででも、俺はどん引きしたが。

会ったことも、話したこともないかるびの旦那だったが、

自分の中で、悪いイメージが固まりつつあった。




そして、これらのことによって、




「…んでなぁ、『ゴゴ市』のことは、完全にマークされてんやわ

「特に、メールのやりとりをやっていた、君とパンチについては怒ってる

「というかなあ…、君はまだ…うちの旦那や子供に配慮する文章があったから、君に関しては、それほどでもないねん。」

パンチに関しては…旦那、相当、怒ってる。パンチの電話番号も控えてあるみたい…」

「パンチは、(冗談やと思うけど)旦那と別れろ、とか愛してる、とか書いてあったからなあ」




ああ〜…

だからあれほど言ったのに、パンチ…!

俺は、確かに彼女にゾッコン(古)で、ほの字(古)だけど、

略奪しようなんて、悪いことだと思ってたし、

何か間違いがあったらマズいから、

そういう気持ちは極力、抑えてきたのに…




「だから…ゴゴにも入れんし、君たちとも連絡できんかった。許してな。」



いやいや、

結局、俺たちは、かるびに迷惑をかけてしまった…。

30過ぎた、いい大人が、先も読めずに、行動が甘すぎた。







しかし、メールのつづきでは、

旦那に監視されてはいるが、

とりあえずゴゴ市に入ってなければ、旦那は怒らない。

なので、

これからは『ハンゲーム』の方で会おう、と書いてあった。




旦那は、

『ハンゲーム』なら、ゲーム中心で会話もないし文句は言わない。

操作もわからないから、ハンゲームのメール機能も知らない。

と、いうより、旦那はPCが相当苦手で、

PCメールを全部見られた時も、かるびにメールボックスを開かせたのだそうだ。





最後に、

「もう会えないと思ってたのに。ほんま、あの時はビックリくりくりやったでw」

と書いてあった。

うん…、俺も…おどろいたよ。

そう、運命、

と、思いたい。










その後、

俺とパンチとかるびは、

毎日『ハンゲーム』で遊んだ。

やっているのは、主に「パチンコ」「花札」「五目並べ」「麻雀」

全部、かるびの趣味だ。

正直、「かるびって…なんかちょっとオッサンくさい趣味だな」って思った(笑)




ただ、さみしいのは、

会話もなく、ただ黙々とゲームをしなければならなかったこと。




旦那は、

1〜2時間おきに、かるびがPCをやっているところを覗きに来るらしい。

そこで、キーボードをカタカタ鳴らして文字入力していると、

「何、誰と話てんねん」と、絡まれるそうだ。

なので、

重要なことは、ハンゲームのメールを使って(あとで見つかっても、文句を言われないように、なるべく俺たちとはわからないような短い文章で)、

連絡しあった。







そんな毎日が、2ヶ月以上続いたが

ある日、

3人でハンゲームを遊んでいる最中に、

突然、かるびから、

「今、良かったら、久しぶりにゴゴに行かへん??

と言ってきた。



オイオイ、文字入力なんかして大丈夫か?

っていうか、「ゴゴ」?!



続けてかるびが、

「今、旦那が、車で出ていった音が聞こえたわ。

大丈夫! 

旦那、ここんとこ毎日、親戚の家に呼ばれて、何かのお手伝いに行ってるんやわ。

親戚やから、行かざる得ないし、一時間は絶対に帰ってこん。

今しかない!

と、言った。




大丈夫か…ホントに…でも、かるびとゴゴに行きたい…

という気持ちの方が強くなる。

確かに、かるびの言う通りならチャンスかもしれないが…



パンチ
「よっしゃ、そんなら急ごうぜ!! ボイスチャットも出来るな!」



もう、勢いで、急いでマイクを用意して、ゴゴへアクセスした。



パンチ
「急げ、急げ!」



俺も、慌てた。

久々のゴゴ、また3人で遊べる!かるびと話せる!



パンチ
「おおーい、聞こえるかっ!」




「オッケー、こっちは大丈夫!」



かるび
「うわあ、なんか昔みたいやーん!ゴゴ懐かしいわ〜〜!



かるびは半年以上、ゴゴに来てなかったから、なおさらだろう。

本当に、知り合った頃のように俺たちは、はしゃいだ。



パンチ
「あはははw いや、わかっちゃいたけど、ゴゴってやっぱり何にもねーなw




「まあ、そこがまたいいじゃん、話に集中できてさ。」



かるび
「あー、○×クイズやりたい!行こう!」




3人で、ゴゴの街を走った。

懐かしい光景だった。




かるび
「まだ、けっこう、ゴゴも人いるやんなあーw

ここの喫茶店、まだオープンしとらん……





ぐぇっ!!……」






?!



突然、かるびが聞いたこともない絶叫をあげて、会話が途切れた。



パンチ
「?! び、びっくりさせんな!?どうした!なんじゃ!?」




ガサゴソッ ガサガサッ ガサガサッ!



イヤホンから、異様な音が聞こえた。



ガサガサッ…



俺は、血の気が、サッと引いた。











かるび
「……んっ、なんやあ!!」



かるびの、叫び声が聞こえた。

最悪のことが起こったと、その瞬間、理解出来た。











かるび
「やめてっ!」





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posted by みるしょう at 03:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ゴゴ市から現実の世界へ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月28日

23 ハンゲーム?!


pairs
DMMライブチャット

かるびを忘れようとしても、忘れきれない毎日。
心までが荒みそうになった時、パンチからのメールが来る。
「かるびが、『ハンゲーム』にいる!」




ハンゲーム…ハンゲームってなんだ?!!

メールには、「ともかくここに来い」とURLが書いてある。

かるびがいるっていうなら、行くしかない!





急いでゴゴ市を出て、ハンゲームとやらのHPへ。

会員登録? 大丈夫か、これ…。

俺は何も知らなかったのである・





『ハンゲーム』は、今でも運営されている大手のオンラインゲームだ。

ゴゴと同じようにアバターを作り、チャットやメールなども出来る。

ただ、違うのは、ここはゲームがメインだった。

ゴゴが、ほとんどチャットのみに対して、

こちらは麻雀やらパチンコやら、様々なゲームがあった。






パンチに電話する。



パンチ
「おう、入ったか! あのな、ワシ、ちょっと前からハンゲームやり始めたばかりなんだがな、」



「そっか…、いや、俺、こんなのがあるなんて全然知らなかったよ;;」


パンチ
「そ、そ、それでさ、今さっき四人部屋麻雀にいたんだよ。そしたらさ…」



「ま、まあ、わかった、んで、かるびはまだいるのか? どうやって探すんだ、コレ?」



俺はパンチの言う通りに麻雀コーナーへ行く。

いくつもの部屋があって、そこでプレイヤーたちが麻雀をしているらしい。



「ここか?…は、勝手に入っていいんだな?」


パンチ
「あ、ああ。確かにさっきまでここの部屋にいた!



俺はドキドキした。

数か月ぶりのかるび…。

こうしてゲームを楽しんでいる、ということならば、元気なんだな?

旦那に襲われたり、ケガしたりとかはないんだな?!



ピンポーン



麻雀部屋に入る。

みんな黙々と、麻雀をやっているようだった。

ジャラジャラと、音だけがする。

やっている4人以外のアバターは、

部屋の中で、ゲーム内容を見ながら待機出来る。





「あっ」



パンチ
「ほ、ホラ!! な?!」



麻雀をしているメンバーの中に、

グレーのショートカットの女の子のアバターがいた。

名前は…

か、か…「かるび」!


無題gog.jpg


ゲッ!


俺は、あまりの衝撃で、PCの前で叫んだ。

イメージ的には、まあ、ゴゴのキャラと被ってる! 似てる! 確かに!

し、しかし、待てよ?!

これが、あの「かるび」だっていう証拠は?!




「おい、パンチ!お前、話しかけてみたのか?」



パンチ
「いや、無理だ。彼女、ゲーム中だし…。でもな、彼女のキャラクターをクリックしてみろって!」



え?大丈夫なの? (・_・;)

あ、プロフィールが出るのか…





現在の住所:かがわ うどん

生年月日:S46年




また、俺はPCの前で叫んだ。

ここまで、状況が合ってるなら可能性は高い…!





「こりゃあ…かるびかもな、確かに(・_・;)」



パンチ
「な、誰だってそう思うだろう?!」




「パンチ、話しかけてみようぜ…


パンチ
「マジ…?で、でもな、俺、ここだと名前違うからさ、俺だってわかんないんじゃ…」



「ン…、ってなんだよ、お前の名前『ダークスカイウォーカー』? ふざけんなよ!」



俺は、もう我慢できずに、

ハンゲームの操作も知らないまま、適当に彼女に話しかけた。







「あの、とつぜんすみません。かるびって、あのゴゴのかるびさん?



言葉が届いているのかもわからない。俺は続けた。



「あの…、ゴゴにいた俺です。わかりますか?岩手に住んでる…」



その瞬間、

彼女のアバターがパッと消えた。

部屋から退出したらしい。

ハンゲームは、ゴゴと違って、アバターは動いたりできないから、ログアウトすると消えてしまう。

かるびなら、何か少しでもリアクションがあるはずだ。






これは、あの、かるびじゃないな…。







「聞こえてたようだけど…、」


パンチ
「うんうん、どうだった?!」



「ん…、なんか気味悪がられたっぽい。人違いだ…たぶん



パンチ
「……、そっか…。なんか悪かったな、ここまで来させといて」




「いやいや、ありがとうなあ。まあ、ちょっとドキドキさせてもらったよ(笑)」

















それから、四日ぐらいしたある日、

まあ、せっかくだからと、気分転換にハンゲームに入った。

もともとゲーム好きだし。ただ、ギャンブル系はちょっと苦手なんだよな。




釣りゲームがあるのか、やってみるか、基本無料だし。

ハンゲーム操作自体よくわからないので、いろいろといじってみた。

「俺って、説明書、読まないよなあー(笑)」

すると、

メールというところがある。

ハンゲーム内でメールのやり取りが出来るのか?







「あっ」



メールのところに「1件」と表示されていた。

そのメールのタイトルを見て、俺はPCをひっくり返しそうになった。








title:うっしっし ( ̄ー ̄)








あ・あ・

この書き方は…

メールを開くと、そこには、







うちです w 
ひさしぶり w









「ああああ!!!!!あああああ!!!!!」

間違いなかった、

あの子は…かるびだったんだ!!




俺は、アパートの二階にまで届くくらい、大声で泣いた。




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posted by みるしょう at 04:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ゴゴ市から現実の世界へ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月27日

22 ダメ店長

mm.jpg



彼女を忘れて、仕事に打ち込もう!
しかし、どうもやけくそにやっているように思える。
ボッカリと、心に穴が空いたように。




ダークサイドに落ちたような気分。

心が腐った気分。





ショップの来客数が増えるにしたがって、

どうしても一人一人の応対の質が下がっていく。



スタッフ
「店長〜、お客さんが多すぎて、さばききれませんよぉ」




「お客さんに対して”さばく”って言葉、つかうな!





確かにスタッフの気持ちもわかる。

許容オーバーだ。俺もイライラした。

さらに、昼までに書類を支社にメールで送らなければならない。

書類がエクセルのファイルになってから、さらにイライラ。

俺は昭和の人間だぞ!(12〜3年前からこういうデジタル化が進んだ)





おい、店長!店が客で満杯だぞ〜、何やって…」

上司の所長が、バックルームで手こずってる俺に叫んだ。

「…はい」

俺はたぶん、初めて、機嫌の悪い態度で返事した。

ごめんなさい、所長;;

拾ってもらって、お世話になった恩も忘れて…。









店が終わって、スタッフのみんなと食事に行く。

宮古市は、全国チェーンのお店はほぼないけど、

個人のお店のレベルは非常に高く、飯もうまい。

立派なたたずまいの天ぷら屋さんに入る。




スタッフ
「店長、最近、どうなの? 彼女とかさー




「はあ?(笑) もう、お前ら見てたら、女性に夢なんか見てねえよw



スタッフ
ごぶさたなんでしょー?ww うあはは」




うるさいよ(笑)」




俺は、滅多にお酒を飲まない。

少しアレルギー持ちだし、それに飲んでも飲んでも楽しいって思ったことがない。

どこかで必ず理性が働いて、記憶もしっかりしているんだ。

でも、この日は飲んだ。多少の酔いは感じた。










その勢いからか、女性のことを聞かれたからか…

少しだけ、ゴゴ市でのことをみんなにしゃべってしまった。










スタッフ
え…それって、だって、チャットしかしてないんでしょう…?




「ああ…顔も見たことない



スタッフ
「え〜。それじゃ、相手のこと、全然…。」



ちょっと、スタッフが引いているのがわかる(笑)そりゃそうだろうな。

当時は、ネット恋愛なんて言葉もなかったし、「電車男」もやってなかったから、

ネットでの交流なんて、理解する人は少なかっただろう。



スタッフ
「ま、まあ…、店長!その子のことは忘れてさ…!宮古でいい人、みつけようよ!…宮古のおんなはね、我慢強くて、しっかりしてんのよー? 料理だって上手な人多いんだからw



俺のことを、励ましてくれてる…。ありがとう。

確かに宮古市の女性は気立てもいいし、真っ直ぐだし、

立派な嫁さんをもらうなら、ここはおススメだよ

けど…。





「でも、俺は許せないんだ…。」



ああ、ヤバイ、また言いそうだ。

俺の中の暗黒面が…。




「人のお金でメシ食ってさ。そのくせ暴力まで振るって。そんなヤツが旦那で!そんなヤツがこの世の中にいて舌を出して笑ってるなんてさ」


「彼女は確かにしっかりしてるわけじゃないけど、生まれて初めて、一緒にいて心が安らぐ女性だったんだ。DVされていることを、健気に、俺に隠していた。彼女が!かわいそうだ…」






俺は酔ったんだろう。

一人で外へ出た。

帰り道、

空き缶を蹴っ飛ばそうとしたが、

お酒の力を借りても、それすら出来なかった。

理性が消えない。

お酒って、忘れるためにあるものじゃないのか?

忘れようとすればするほど、忘れられない。

部下に弱気を見せてしまった。情けない。







朝、

俺はそのままの恰好で、職場に行った。

でも、どうやら背広はどこかに脱ぎ捨ててしまったらしい。





所長
「へーーーっ、お前が二日酔い?!(笑)」



腰が砕けるようなジェスチャーをする所長。

本当に、みんながそれだけ驚くほど、

俺はお酒を飲んだりしない。



所長
「まあ、そういう時もあるさ、今日は無理するなよ」



本当にいい人だ。すみません。

罪悪感でいっぱいになる。












仕事が終わって、アパートに戻る。

久しぶりだけど…ちょっとつらいけど…

ゴゴ市に入ってみた。

もしかしたら、かるび、いるかも!…なんて、1%の望みもない。




「あれ、ひさしぶり」



あっ、誰かと思えば…



しのぶさん.png





しのぶさん
「最近、かるびもいないね。元気でやってるの?」



「しのぶさん…」



初めて、ゴゴ市に入った時、面倒をみてくれたしのぶさんだった。

相変わらず初期の恰好に、サンバイザーのみ、頭につけている。

それが逆に、「ゴゴ市のベテラン」のオーラをかもしだしていた。

俺は、

思わずこう思った。彼女なら、俺の話をわかってくれる、と。




「しのぶさん、話が長くなるかも知れないけど、ちょっといいかな…。」


しのぶさん
「ん、いいよ。どうした。


彼女は、女性で既婚者なことは間違いないようだが、年齢はたぶん自分よりも下。

だけど、ゴゴ市のことも結婚生活についても、理解がある。

もう、彼女にしか相談出来ない、と思った。








一通り、かるびとのことを話した。

しのぶさんは嫌がらず、黙って俺の話を聞いてくれた。




「…というわけなんです。かるびは、その旦那のもとへ。」



しのぶさん
「そうか。」



彼女は一見、ぶっきらぼうに聞こえるけど、的を得たことを言う人だ。



しのぶさん
「かるびは、いい子だったね。」




「はい…。」



しのぶさん
「けど、例え、旦那が悪、だとしても。」



「はい」


しのぶさん
「それが彼女の選んだ道なんだ。彼女は承知で家へ帰った。それを他人の私たちが、どうしろという権利はない。」



「……」



しのぶさん
「大人のかるびが、決めたことなんだよ」











しのぶさんと話が終わって、ゴゴ市のベンチで一人で座っていた。

「大人のかるびが決めたことだ」「他人がどうしろと言うことは出来ない」

もっともだ…

しのぶさんって、一体いくつなんだ?(笑)

俺より、全然、大人の意見だ。

もう、無理なんだ。

旦那を恨んだり、酒を飲んで酔っ払ってやけくそになったって、

なんの解決にもならない…。







もう、ゴゴに来るのもやめよう。

女々しいだけだ。








と、その時、

パンチから突然メールが着た。

お、丁度いい、パンチを誘って、ゴゴとのお別れ会でもするか、

と思ってメールを開いたら、

パンチからのメールには驚くような内容が書いてあった。




パンチのメール
「お、オイ!聞いてビックリするなよ…




かるびがいる!








かるびが、ハンゲームにいた!!!!!



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